主要研究分野

鯨類の進化系統分類・資源生物学的研究

フィールド調査によって得られたサンプルを用いて鯨類の年齢組成や性成熟、肉体的成熟等を研究している。また外部形態や頭骨、後肢の痕跡骨などの内部形態を成長段階や地域ごとに比較することによって、年齢や海域ごと形態差の有無や程度、系群構造、成長過程について研究している。商業捕鯨で行われている生物調査に参加する機会もある。

鯨類の生態学的研究

外部機関が実施している調査で得られた南極海と北太平洋のデータを借用し研究を行っている。個体数推定や季節による出現頻度、画像認識、分布傾向の変化、集団遺伝、摂餌生態、鯨類を中心とした海洋生態系モデリングなど幅広く研究に取り組んでいる。外部機関が実施する目視調査に参加する機会もある。

日本近海のザトウクジラに関する研究

近年、資源量の急速な増加が報告されている日本近海、特に八丈島周辺のザトウクジラを対象に、分布様式や来遊個体数の変動予測、遺伝子を用いた系群判別など、外部機関と共同で研究を行い、個体群特性の解明に向けた研究を行っている。例年、11月から4月にかけて八丈町・八丈島観光協会と協力し学生が主体となり調査を実施している。

鯨類と超高速船衝突回避に向けた研究

鯨類と超高速船との衝突を回避するための技術開発をおこない、人類と鯨類の共存を目指す。
新UWSの有効性評価やドライブレコーダーによる発見精度向上への取り組みを行っている。

研究室の活動概要

  • 4月~10月にかけて毎週1回、英語論文の輪読会を行っている。
  • 毎月1回、ゼミを開催し学生が取り組んでいる研究の進捗を確認する。
  • コアタイム(学生が必ず通学して研究を行う時間帯)
    月・火・木・金 10:00~16:00
    水 10:00~12:00(英語論文輪読会を実施していない期間は10:00~16:00)

学外の連携先

水産庁、日本鯨類研究所、水産研究・教育機構 水産資源研究所、八丈町、八丈島観光協会、太地町立くじら博物館、鴨川シーワールド、新江ノ島水族館、東工大、麻布大、大島海洋国際高校、国際捕鯨委員会(IWC)、南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)など

授業

学部3年生向け

海洋生物学IV(担当:村瀬弘人准教授、中村玄准教授)
本授業では講義を通じて、海洋生物のうち、特に海産哺乳類の生物学ならびに保全・管理の基礎を学習する。はじめに海産哺乳類の進化と分類を学ぶ。次に鯨類、鰭脚類および海牛類それぞれの基礎的な特徴を学ぶ。これらの知識を発展させ水中環境に適応した海産哺乳類の形態、生理および生態を学ぶ。また、海産哺乳類を対象にした調査・解析方法、捕鯨史および国内外における保全・管理の現況など人類との関わりを学ぶ。これらの総合的な学習を通じ、海産哺乳類、またそれをとりまく生息環境(海洋生態系)と人類の関係について客観的に把握し、これらの保全・管理に向けた基礎力を養う。

博士前期課程向け

海産哺乳類学(担当:村瀬弘人准教授、中村玄准教授)
本授業では主に英語の講義を通じて、海産哺乳類学(進化、分類、形態、生理、生態、管理など)の概要を学び、国内外において海産哺乳類の保全・管理に活用する知識を習得する。

鯨類生物学(中村玄准教授、村瀬弘人准教授)
鯨類は太古の昔、陸上生活を営んでいたが進化の過程で水中生活に適応し、繁栄を遂げた。現在では地球上の水域に約90種が知られ、生態的にも形態的にも極めて多様である。本講義では鯨類が進化の過程で獲得してきた遊泳能力や特性についての理解、また、形態的特性を用いた分類手法の獲得を目標とする

博士後期課程向け

鯨類生態学特論(担当:村瀬弘人准教授、中村玄助教)
本授業では鯨類に関する様々な知見(進化、分類、形態、生理など)を活用しながら、その生態に関する先進的な専門知識を習得することを目標とする。英語による一連の講義(課外講義も含む)を通じ生態を含め鯨類ならびにその他の海産哺乳類に関する全体的な知識を深める。これを活用し鯨類生態に関する先進的な課題について英語による口頭発表やレポート作成を行い専門知識を深める。

鯨類の和名⼀覧